So-netの森 森林整備活動2013.09

So-netの森 第17回活動レポート

9月21日(土)、あちこちで稲の収穫が見られる初秋の佐久で第17回の活動が開催されました。
管理からシステム・広告・営業・ゲーム開発まで、So-netの幅広い部門から計18名のメンバーが参加した今回の活動では、木材としての価値を大きく左右するヒノキの「枝打ち作業」や、4月に植えたジャガイモの収穫、リンゴの木の「名入れ」作業などを中心に1泊2日で実施しました。

森林整備作業

「大沢森の分教場」に到着。爽快な秋晴れの下、大沢財産区の皆様と開始の挨拶を済ませたら、さっそく作業場の林へ移動します。

議長さんよりご挨拶を
3年の月日を経た看板前で集合写真

今回の森林整備の舞台は、樹齢およそ20年ほどのヒノキ林。初秋の長野にしては暑いくらいの日差しも、林の中までは入らずヒンヤリ快適です。

活動現場のヒノキ林
林の中は真っ暗です

しかしこれから行うのは、このヒノキの枝の一部を落とし日当たりを良くする「枝打ち」という作業なのです。

道具の使い方を速成で講義
森林整備に出陣

なぜ「枝打ち」をするのか?

作業の前に、NPO法人「信州そまびと倶楽部」の工藤さんより、この昼でも薄暗いヒノキ林を「枝打ち」する理由を教えていただきました。

  1. 土壌の保護
    日差しの入らない林の中は草や低木が育たず、土の上に落ち葉や枯れ枝が乗っているだけの状態。ここに大雨が降ると土砂となって流出し河川を汚したり水害の一因にも。
  2. 節(ふし)を減らす
    若木のうちに枝を落とすことで、幹が成長する過程で枝の付けの節跡は幹の外周へ押し出され目立たなくなり、材木へ加工される段階でカットされて「無節」と呼ばれる高価値な材木になる。
  3. メタボの防止
    枝が多すぎると、夏季に密度の低い白い年輪部分が成長し過ぎるので、木目の美しさや強度といった木材価値の観点から、あまり好ましくない。

…つまり、この「枝打ち」作業は自然環境にとっても、そして人間にとっても好ましい「共生」状態を作り出す為の林業の知恵なのです。

作業開始

目的をしっかり理解したらさっそく、地面から約4m辺りまでの高さの枝を、長い棒の先に付いた鋸で切断する作業に入ります。できるだけ枝の根元部分で切断しないと、節が残ってしまいます…

枝の付け根のギリギリを狙う
鋸刃を真っ直ぐ丁寧に動かして
綺麗に切れました
一斉に作業開始
意識を集中して慎重に
地上4mはけっこう高くて遠い

地上からの作業が難しい所は、棒とロープで作った足場をよじ登ることも。

垂直によじ登ります
けっこうな高さです
女性隊員もゆきます
日光が差し込んできました

じゃがいもの収穫

続いて、春にじゃがいもを植えた大沢分教場の近く畑に移動し、今年の暑さの下で順調に育ったじゃがいも達を収穫します。
「今年はいい出来だねぇ」と財産区の議員さんに褒められた大きなイモをゴロゴロと掘り出して籠一杯に積み上げてゆく収穫作業はやはり最高の喜び。自然と笑顔がこぼれます。

芋を傷つけないよう、横から鍬で掘り上げる
モモ色シャツには、ハート形の芋が似合う!?
ズッシリ大きく育ってくれました

天体観測

夕食後は宿泊所から10分ほど歩いて天体観測施設「うすだスタードーム」へ。
道中、月明かりだけで街灯も無い山道を不自由なく歩けることに先ず驚きましたが、その月を直径60cmもある望遠鏡で覗いてみると…「おおっ!」
その光景には、CGや映像ではなく、実在の天体の表面を見ているという事実を無条件に納得させてくれるリアリティがありました。

こんな月、TVでしか見たことありません

翌日は「阿部農園」でリンゴの名入れ。11月にまた収穫に来ます。

So-netがお借りしているリンゴの木は3本
晩秋の収穫が楽しみです

おわりに

今回、枝打ちしたヒノキは樹齢約20歳で、木材として利用できるようになるには、更にあと20年もの歳月が必要なのだそうです。

自然は放っておいても育つような印象を抱きがちですが、土砂や河川の氾濫を予防し、人間の生活に欠かせない優れた木材を提供してくれるような自然と人との健全な共生関係は、人が継続的に手をかけ続けることでしか維持できないことを、今回の活動を通じて改めて意識させられました。

普段、都会のスポーツクラブで自分の為に流す汗は無為に消えてしまいますが、どうせならそのエネルギーを、少しでもヒトと自然とのより良い関係作りの為に使えないものか?

帰路の車内でふとそんな考えが頭に浮かんだ、印象深い活動になりました。